損傷調査

損傷により生じた破面の解析(フラクトグラフィ)や損傷部の断面観察などを行い、損傷要因を科学的根拠に基づいて推定します。
当社は金属材料や溶接構造物を対象に、30年以上にわたり多様な損傷調査を手がけてきました。
とくに溶接部の損傷調査を得意とし、原因の特定から改善策のご提案まで、一貫して対応いたします。

損傷調査のご依頼から報告までの流れ

 
●関連する試験・サービス 
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  化学分析
  材料機械試験

損傷原因の一例

当社が過去に調査した損傷原因の例を以下に示します。

                     

              

  SEM観察例:疲労破壊         SEM観察例:応力腐食割れ        SEM観察例:高温割れ

●損傷調査例 
  疲労破壊
  応力腐食割れ
  高温割れ
 

損傷調査報告例

疲労破壊を対象とした調査報告の一例として、「ポンプジョイントの漏えい原因調査」を示します。
調査の結果、溶接ルート部を起点とする疲労破壊が、漏えいの主要因であることを確認しました。

1)調査概要、目的
お客さまからご提供いただく調査対象品とその使用状況・使用環境などの情報を基に、調査の概要と目的を明確にします。
写真や図面、模式図を用いて、損傷状況を直感的に理解しやすい形で示します。

<報告書記載例>
・ 真空ポンプの吸引に不具合があり、真空経路を 確認したところ、ポンプジョイントのフランジ溶接部に割れが認められたものである。
・ ポンプジョイントのフランジ溶接部について各種調査を行い、割れ発生原因を考察する。

        調査対象物の使用状況

 
2)外観観察
ご提供いただいた調査品を対象に目視で外観を確認し、損傷の様子を把握します。
観察結果は、写真を用いて分かりやすく示します。

<報告書記載例>
・ ポンプジョイントは、側管付きのパイプの両端にフランジが設けられた構造である。
    パイプにはめ込まれたフランジは、いずれもフランジの内側から溶接されている。
・ 割れは、真空ポンプ側フランジ溶接部のビード幅中央に観察され、割れの開口長さは、約15 mmである。

            外観観察結果
 
3)非破壊試験
目視では確認できない損傷について、非破壊試験により、きずの有無や範囲を確認します。

<報告書記載例>
・ 浸透探傷試験によれば、浸透指示模様は、外観観察で認められた割れ箇所にのみ検出される。
・ その他には指示模様は認められない。

           浸透探傷試験結果

非破壊試験を詳しく見る

 
4)マクロ破面観察
調査材を切断して破面を露出させ、必要に応じて洗浄および除錆処理を施します。
その後、マクロ的な観察を行い、割れの進展方向などを確認します。

<報告書記載例>
・ 下左図に示す位置で調査材を切断して割れ破面を現出し、マクロ破面観察を行った。
・ マクロ破面観察結果によれば、径方向に割れの伝播方向を示す筋模様が認められる。
・ これらの筋模様から、割れは、ルート部の広い範囲から発生し、ビード表面側へ伝播していると推察できる。

      

    破面現出切断位置        マクロ破面観察結果(パイプ側)割れの伝播方向模式図

 
5)SEM破面観察
SEMを用いて破面の微視的形態を観察し、損傷の形態や破壊機構を推定します。

<報告書記載例>
・ 起点付近および伝播部のいずれの箇所にも、疲労破壊の特徴を示すストライエーション・パターンが認められる。
・ ストライエーション・パターンの筋模様が微細なことから、低応力高サイクル疲労であることを示しており、ポンプの微振動が影響したも
    のと考える。

   SEM破面観察(ストライエーション・パターン)

SEM破面観察を詳しく見る

 
6)母材の材質確認(成分分析)
母材の材質が不明な場合や、規格どおりの材料が使われているかを確認するために分析を行います。
SEM-EDS などによる簡易判定に加え、より詳細な分析が必要な際は、湿式化学分析などを用いて成分を測定します。

<報告書記載例>
パイプ母材表面のSEM-EDS半定量分析によれば、Ni、Crの含有量から、SUS304系の材料であると推察できる。

        SEM-EDS分析例(材料確認)

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7)断面マクロ観察およびミクロ組織観察
マクロ観察では、溶接部の形状、溶接欠陥の有無、割れの起点や進展経路などを把握します。
ミクロ観察では、溶接金属および熱影響部の微視的欠陥や金属組織を観察し、そこから得られる冶金的特徴を評価します。

<報告書記載例>
溶接部はTIGノンフィラー溶接のようであり、部分溶込みであることが分かるが、パイプ肉厚(約2 mm)に対し、のど厚が1 mm程度と薄い。

  断面マクロ観察結果(のど厚の計測)

 <報告書記載例>
溶接金属部の断面組織は、一般的なオーステナイト系ステンレス鋼溶接金属部に認められる、オーステナイト相にδフェライトを含む組織である。また、母材の断面組織は、フランジおよびパイプのいずれも、一般的なオーステナイト系ステンレス鋼に相当する組織である。

               ミクロ組織観察

マクロ・ミクロ組織観察を詳しく見る

 
8)結果まとめ
これまでの観察や試験の結果を総合的に整理し、損傷の原因を推定します。
溶接部に問題があった場合は、改善策もご提案します。

<報告書記載例>
ポンプジョイントのフランジ溶接部の割れは、形状的に応力集中しやすい部分溶込みのルート部から疲労き裂が発生してビード表面側に伝播し、一部が貫通したものと判断できる。

9)改善対策案
調査結果をもとに、溶接方法や施工条件に関する改善策をご提案いたします。
また、条件最適化に向けた溶接試験や評価試験にも対応いたします。

<報告書記載例>
・ 対策一つとして、溶接部の疲労強度を上げるために、溶接ルート部が応力集中しにくい構造とすることがあげられる。
・ 具体的には、下図に示すように、片面溶接を両面溶接にする方法が提案できる。

下記の溶接条件は改善対策の参考例です。
ただし、使用する母材や溶加材、施工環境等により最適値が変わるため、実際の適用には、事前試験での確認が必要です。

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試験体製作/試作

※その他、調査方法の概要については、以下の技術ガイドもご参照ください。

試験・調査報告 破損調査(ぼうだより技術がいど記事へのリンク)

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